2008年11月05日
第28話「漫画が打ち切られる時」の巻
さらに続く。今回でおわり。面白いのか?この話。
税金を払うためにひたすら漫画を描く日々。
それでも「なんくるないさ~」とのん気な俺。
気が付くと、借金は簡単に返せる額を遥かに上回っていた。
最終巻となった「御石神落とし」第8巻は、実売部数最低記録だった。
俺の反対を押し切り、実力行使でお水の花道に飛び込んだ嫁。
(これが切っ掛けで、頭角を現した彼女は1年ちょいで自分の店を
オープンさせることになるのだが…その話はまた後日)
これにはさすがに焦った。
恥も外聞もかなぐり捨てて、知る限りの編集さんに泣きついた。
結果、大きな仕事を任せてもらえることに。
人気のパチンコ機、CR「フィーバー大夏祭り」のコミカライズ。
実業之日本社「週刊漫画サンデー」誌にて週刊連載決定。
原作はこれまた大御所、倉科遼先生。
タイトルは「花菱一家~夏祭り編~」。
100億円規模の大プロジェクトの大船の端っこに乗せてもらえることに!
もちろん単行本化前提の、非常に条件のいい仕事。
白泉社の御石神のリニューアルである「えっちの神さま!」と
同時進行で週刊連載をこなす日々が続く。必死だった。
アシスタントさんも新たに2人雇い、忙しいながら生活は安定を迎えた。
…これで安泰かと思いきや、一寸先はわからないものである。
クライアントのプロジェクト見直しにより、連載5ヶ月目にして
打ち切りが決定。さらに単行本化は見送られた。
末端の漫画作家の立場など脆弱なものである。
そして満を持して「えっちの神さま!」単行本第1巻の発売。
ここでこのブログを始めた時期と繋がる。
勝負どころだ。これが売れるか売れないかで今後が変わってくる。
本気になった。営業用の色紙を60枚ほど作り、書店に配って回った。
沖縄県内の書店には足を使って頭を下げて直接交渉。
内地の書店には電話をし、手書きの手紙を添えて一軒一軒送った。
友人知人も手を貸してくれた。ありがたかった。
この作品には少し自信があった。
原作者さんと担当さんとで御石神の弱点を見直し、3人でがんばって
作り上げたもの。いける。根拠のない手応えを掴んでいた。
漫画の単行本は発売から2~3週間が勝負。
3週間を過ぎた頃、担当さんから電話。その声は重かった。
「思っていた以上に厳しいです」
重ねて、連載の終了時期を告げられた。
一応このパターンも想定していたが、ダメージは大きかった。
漫画家になって11年目にして本当の敗北感を味わった。
そして現在。
「えっちの神さま!」と平行して、新たな連載漫画の作画作業中である。
これまた原作モノで、掲載は12月より。詳細は後日告知します。
…これこのように、そこそこの漫画家の生活というものは
浮き沈みが異様に激しい。明日がわからない。
それでも日々を噛み締めながら、今日も原稿を埋めている。
俺には2つの夢があった。
沖縄に移住したいってのと、週刊連載を経験してみたいという夢。
気が付けばどちらも叶ってしまった。
夢ってのは、大事に持ち続けてがんばってれば叶うものだと思ってる。
だから色々あるけど、俺が今抱いてる夢もきっと叶う。
みんなもがんばれ。
長々とご拝読ありがとう。感謝。
次回からまたアホブログに戻すよ。
税金を払うためにひたすら漫画を描く日々。
それでも「なんくるないさ~」とのん気な俺。
気が付くと、借金は簡単に返せる額を遥かに上回っていた。
最終巻となった「御石神落とし」第8巻は、実売部数最低記録だった。
俺の反対を押し切り、実力行使でお水の花道に飛び込んだ嫁。
(これが切っ掛けで、頭角を現した彼女は1年ちょいで自分の店を
オープンさせることになるのだが…その話はまた後日)
これにはさすがに焦った。
恥も外聞もかなぐり捨てて、知る限りの編集さんに泣きついた。
結果、大きな仕事を任せてもらえることに。
人気のパチンコ機、CR「フィーバー大夏祭り」のコミカライズ。
実業之日本社「週刊漫画サンデー」誌にて週刊連載決定。
原作はこれまた大御所、倉科遼先生。
タイトルは「花菱一家~夏祭り編~」。
100億円規模の大プロジェクトの大船の端っこに乗せてもらえることに!
もちろん単行本化前提の、非常に条件のいい仕事。
白泉社の御石神のリニューアルである「えっちの神さま!」と
同時進行で週刊連載をこなす日々が続く。必死だった。
アシスタントさんも新たに2人雇い、忙しいながら生活は安定を迎えた。
…これで安泰かと思いきや、一寸先はわからないものである。
クライアントのプロジェクト見直しにより、連載5ヶ月目にして
打ち切りが決定。さらに単行本化は見送られた。
末端の漫画作家の立場など脆弱なものである。
そして満を持して「えっちの神さま!」単行本第1巻の発売。
ここでこのブログを始めた時期と繋がる。
勝負どころだ。これが売れるか売れないかで今後が変わってくる。
本気になった。営業用の色紙を60枚ほど作り、書店に配って回った。
沖縄県内の書店には足を使って頭を下げて直接交渉。
内地の書店には電話をし、手書きの手紙を添えて一軒一軒送った。
友人知人も手を貸してくれた。ありがたかった。
この作品には少し自信があった。
原作者さんと担当さんとで御石神の弱点を見直し、3人でがんばって
作り上げたもの。いける。根拠のない手応えを掴んでいた。
漫画の単行本は発売から2~3週間が勝負。
3週間を過ぎた頃、担当さんから電話。その声は重かった。
「思っていた以上に厳しいです」
重ねて、連載の終了時期を告げられた。
一応このパターンも想定していたが、ダメージは大きかった。
漫画家になって11年目にして本当の敗北感を味わった。
そして現在。
「えっちの神さま!」と平行して、新たな連載漫画の作画作業中である。
これまた原作モノで、掲載は12月より。詳細は後日告知します。
…これこのように、そこそこの漫画家の生活というものは
浮き沈みが異様に激しい。明日がわからない。
それでも日々を噛み締めながら、今日も原稿を埋めている。
俺には2つの夢があった。
沖縄に移住したいってのと、週刊連載を経験してみたいという夢。
気が付けばどちらも叶ってしまった。
夢ってのは、大事に持ち続けてがんばってれば叶うものだと思ってる。
だから色々あるけど、俺が今抱いてる夢もきっと叶う。
みんなもがんばれ。
長々とご拝読ありがとう。感謝。
次回からまたアホブログに戻すよ。
Posted by うらまっく at 05:12│Comments(3)
│漫画
この記事へのコメント
我が息子達の夢は、プロ野球選手になって、いつかメジャーリーグで活躍することだそうだ うむそろそろ現実を見つめたほうが… あたしの夢は「ママ、今までありがとうはい、お礼の気持ち」ってロスあたりにどんと別荘でも建ててもらう事かなぁおいおいお前こそ現実を見つめろよってか
Posted by 火の国の女 at 2008年11月05日 09:02
初めまして!!DUNEと申します。
まさか増田先生が沖縄にいらっしゃるとは!!
漫画喫茶で偶然手に取ったのが御石神落としでした。
原作の永久保先生の大ファンなので(ホラーの方で)
どんな作品なのか試しにと思って読んだらエロだし。
でも風俗習慣をテーマにした作品で、確かにテーマは
エロいんだけど、その時代のモノの考え方とかが
全面に現れて、すごく良い作品だな~と応援していました。
まさか打ち切りのような形で終わった作品だとは思いませんでした。
最後までしっかり描かれてるし、画も力入ってるし。
素敵な漫画家さんが沖縄にいるのを嬉しく思います。
湿気や人材不足で相当ご苦労されてる様子ですが、
癒されながら良い作品を描き続けてくださいねw
影ながら応援しておりますw
まさか増田先生が沖縄にいらっしゃるとは!!
漫画喫茶で偶然手に取ったのが御石神落としでした。
原作の永久保先生の大ファンなので(ホラーの方で)
どんな作品なのか試しにと思って読んだらエロだし。
でも風俗習慣をテーマにした作品で、確かにテーマは
エロいんだけど、その時代のモノの考え方とかが
全面に現れて、すごく良い作品だな~と応援していました。
まさか打ち切りのような形で終わった作品だとは思いませんでした。
最後までしっかり描かれてるし、画も力入ってるし。
素敵な漫画家さんが沖縄にいるのを嬉しく思います。
湿気や人材不足で相当ご苦労されてる様子ですが、
癒されながら良い作品を描き続けてくださいねw
影ながら応援しておりますw
Posted by DUNE at 2008年11月06日 21:51
●火の国の女
いやいや夢は叶うよ。
ポイントは余所見せずに、とりあえず10年は
その夢を追い続けて、そのためにひたすら努力。
迷ったらダメ。
…まあ絶対に叶わない夢も現実的にはあるけどね。
でも子供にはすごく大事なことだと思うよ。
奇麗事ではなくね。
●DUNEさん
書き込みありがとうございます~。
>打ち切り
あはは、実はほとんどの漫画がこのパターンですよ。
長く連載を続けると、どうしても人気が落ちてくる。
どのタイミングでケツをまくるかが難しいところですね。
僕は基本的に超楽天家なので、あまりくよくよせずに
毎日何かしらガリガリ描いてます。漫画描くのが好きなので。
どうぞこれからもよろしくお願いいたします~。
いやいや夢は叶うよ。
ポイントは余所見せずに、とりあえず10年は
その夢を追い続けて、そのためにひたすら努力。
迷ったらダメ。
…まあ絶対に叶わない夢も現実的にはあるけどね。
でも子供にはすごく大事なことだと思うよ。
奇麗事ではなくね。
●DUNEさん
書き込みありがとうございます~。
>打ち切り
あはは、実はほとんどの漫画がこのパターンですよ。
長く連載を続けると、どうしても人気が落ちてくる。
どのタイミングでケツをまくるかが難しいところですね。
僕は基本的に超楽天家なので、あまりくよくよせずに
毎日何かしらガリガリ描いてます。漫画描くのが好きなので。
どうぞこれからもよろしくお願いいたします~。
Posted by 増田剛 at 2008年11月09日 03:14