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2008年11月04日

第27話「夢の印税生活っ!」の巻

さらに昨日の続き。

諸事情で働きに出られない嫁、大きくなっていく子供たち。
その日の糧を得るために、エログラビア誌用の漫画を必死で描き続けた。

この手の雑誌の読者は漫画を目的として買わない。
読んでもらえればかなりラッキー。当然単行本にもならない。
かなりの本数を描いたが、この頃の自分の作品を今見ても
ほとんど記憶にすら残ってない。生活も苦しかった。

知人の編集さんに泣きついて新しい仕事を2本いただく。
そして半年くらい経った頃、でかい仕事の話が来る。
第27話「夢の印税生活っ!」の巻
白泉社ヤングアニマル嵐誌での「御石神落とし」の作画の仕事。
初の原作モノで、その原作者はホラー漫画界の大御所、永久保貴一氏。
大興奮。右も左もわからない状況のまま連載開始。
必死で着いていく形でなんとかこなしていく。

ようやく先の2本と「御石神」で安定したかに思えたが、
ここでとんでもない仕事の依頼が舞い込んでくる。

タブロイド誌での日刊連載1日4ページ、毎日締め切り
この時の状況を考えたら絶対不可能だが、興味の虫が激しく
騒いでしまった。とりあえず話を聞くだけのつもりで担当さんに
会ったら、翌週から連載開始になってしまった。
第27話「夢の印税生活っ!」の巻
先の2本の仕事を半ば強引に切り上げさせてもらい、ここから
地獄のような日々が8ヶ月続いた。(最初の数ヶ月は日刊連載、
御石神、先の2本のすべてをこなしたが、すぐに限界がきた)
第27話「夢の印税生活っ!」の巻
この期間はとにかくまったく自由が無かった。
毎日なので、原稿を貯めておいてもすぐ追いつかれる。
無理矢理温泉旅行に行こうものなら、 帰ってきてそのまま夫婦で
机に向かい、朝までに翌日分を 仕上げ、明けてさらにその日の分に
取り掛かる、みたいな生活。よく倒れなかったものだ。

月平均120枚、最高で140枚は描いた。
ようやく開放された時には腰が壊れていた。
腑抜けてしまい、御石神1本に絞ったので生活が一気に苦しくなった。
第27話「夢の印税生活っ!」の巻
幸いなことに「御石神落とし」はヒットした。
単行本1巻に至っては増刷を重ね、最終的に9刷りまで到達。
コンビニリミックス版も発売し、これも3冊出してもらえた。
しかし印税は知れたものだった。
第27話「夢の印税生活っ!」の巻
ここで沖縄移住
同じ時期にまたワニマガジン社から新たな連載の依頼。
生活は安定したかのように見えたが、日刊連載の意外なツケがまわってくる。

税金だ。

漫画原稿を作る作業は、枚数分だけ人件費がかかる。
なので原稿料などというものはあってないようなもの。
生活は単行本の印税で補うのが普通。しかし俺の漫画は単行本にならない
ものがほとんど。この時手元にはお金なんて全然残ってなかった

市県民税、健康保険税、子供の保育園の保育料諸々が設定最高額
これにさらに数十万円の消費税もおまけにつく。
収入は当時の半分以下に減っていたので全然払えない。
一気に借金ならぬ多額の未払いの税金を背負うこととなった。
第27話「夢の印税生活っ!」の巻
追い討ちをかけるように「御石神」の成績がダウン。
連載終了が決まり、設定、キャラクターなどを変更してのリニューアル化へ。
テコ入れというやつだ。生活の現状を知る編集さんの温情でもあった。

この時期の生活は本当にヤバかった。
原稿料のほとんどすべてを税金の支払いに回すので、
生活費は借金で補い、その金額は次第に増えていった。

つづく。



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Posted by うらまっく at 04:54│Comments(0)漫画
 
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