オキマン。

2002年に発売された増田剛名義での初単行本。

現在は絶版だが、とても思い入れのある１冊。
ぶんか社のみこすり半劇場別館という雑誌で連載。

心を病んだ薬物依存の少女と、画家を目指す青年の物語。
デビュー以来ずっと読みきりのエロ漫画を描いてきていて、
初のエロではない連載作品とあって当時かなり気合を入れて
描いた記憶が ある。

このカバーに纏わるエピソード。


ある大物装幀家がいる。
数え切れない文芸書の表紙をデザインしてきたその人は、
恐らく日本で５本指に入る装幀家。現在も年間に1000冊の
カバーデザインをこなす超売 れっ子。

先の作品の単行本化が決まり、表紙も並でないものに
したかったので、無謀にもその装幀家にお願いできないものか、
と担当さんに相談した。 担当は話を聞いてビビっていた。

アポを取り、担当さんと２人、かなり緊張しながら事務所を訪ねた。
その方は基本的に漫画の装幀は受けない。
過去には集英社文庫版・手塚治虫名作集や内田春菊さんなどが
いるものの、ほとんど皆無に等しい。

まずは作品の刷り出し（印刷され、雑誌に掲載された状態のもの）
を渡し、納得のいく内容ならば受けてくれるという。
その日はそれで事務所を後にした。担当と2人、ぐったりだった。


果たしてどの様な印象を持たれるのか、不安な日々が続いた。
つづく。