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2014年05月29日

第847話「同人グッズの版権問題」の巻

※あくまで個人の意見としてお読みください!

アニメやゲームなどのキャラクターグッズの企画、製作を行う企業
ブロッコリーが、Twitterアカウントを通じて2次創作グッズなどを
販売しているユーザーに警告を送りました。

第847話「同人グッズの版権問題」の巻

2次創作とは…例えばエヴァンゲリオンやプリキュアなどの原作の
登場キャラクターを利用し、独自のストーリーの漫画や小説、
フィギュアなどを二次的に創作、派生させた作品づくりを指します。

主に紙媒体で漫画やイラストなどを創作する活動を同人系、
フィギュアなどの3次元表現での創作活動を立体系などと
呼び、それぞれに違った楽しみがあります。

同人系はコミックマーケット(通称コミケ)、立体系は
ワンダーフェスティバル(通称ワンフェス、WF)などの
大小イベントでそれぞれ頒布…要するに金銭での
売買が行われます。基本的に企業ではない一般参加者が
個人で商品となる創作物を印刷、製作するわけです。

原作を使用して金銭を得るわけですから、当然著作権法が
絡んでくるのですが、同人系では「発行部数が少なく、
社会的影響が弱い」「ファン活動の一環」などの理由から
お咎めを受けることは極めて少なく、言わば原作者側の
「見て見ぬフリ」の好意のグレーゾーンの中で遊ばせて
いただいてる世界と言えます。

一方で立体系も80年代後半くらいまでは、版権?何ソレ
状態の無法地帯の中で自由に暴れていたのですが、
色々あって現在ではメーカーとの競合の問題から
当日版権システムが確立され、版元の正式な許諾を得て
著作使用料を支払ってイベントで販売する形になってます。


以上、同人活動って一部で盛り上がってるっぽいけど
よくわからん…という方向けの大まかな説明。

ちなみに自分のスタンスは同人(主にオリジナル)、
立体共に参加活動20年を超えました。
昭和天皇が崩御された後の国民自粛ムードの中でWFが
開催され、「最初のお祭りです!」アナウンスが流れた時も
ゼネラルプロダクツWF主催者が「次回からは海洋堂さんに
全てを託します!」「えー!?」の時も会場で参加してました。


前置きが長くなりましたが、近年同人系の活動の中で
グッズ制作・販売がリアルに問題視されています。

グッズとは紙媒体の創作の枠を超え、マグカップや
タオルなどの布製品、アクセサリー、ストラップ、
トートバッグやiPhoneケースなど多岐に渡ります。

グッズ制作は同人印刷各社が事業内容を広げ、比較的安価で
様々な商品の製作を少数から受けてくれるようになり、
誰でも店頭で並ぶ商品に匹敵するクオリティの創作物を
作れるようになったことで活発になりました。

自分の描いたイラストをグッズとして高い品質で作り、
イベントで喜んでもらえて、しかも一個でも売れたら
そりゃもう楽しいです。テンション上がります。


でも、二次創作の同人グッズを版元の許可なくイベント
などで販売する行為はグレーゾーンの向こう側なのです。
海賊版と言われても仕方がないのです。

何故なら版元の企業、メーカーと競合することになり、
あまりにも出来のいいものを同人で制作、販売されると
メーカー製品の売り上げに影響が出てしまうからなのです。

メーカーは当然のことながら、商品の企画立ち上げから
原作側と商談し、許諾をもらい、著作使用料を払い、
生産ラインに乗せ、パッケージングし、さらには流通…と
大きなお金を動かして販売に至っている訳です。

それらを跨いでメーカー品と見紛うようなグッズを
販売することは、某国がやってることと同じに
なってしまいます。所謂海賊版ですね。

「うちはたかが5個とか10個だし…」もNGなのです。
身内用に数個、とか自分用に…も厳密には許されない。
メーカー品を買う筈だったその身内が、買わなくなる
かも知れないからです。作った時点でNGということです。

第847話「同人グッズの版権問題」の巻

少し前に「弱虫ペダル」という作品の
ラバーストラップ(ラバスト)の問題がありました。

公式で販売されたラバストに含まれなかった
キャラクターのそれを、あるサークルが同人で
公式「風」として制作し、イベントでの頒布告知を
していたのですが、ネット上でちょっとした騒ぎになり
販売を事前に中止したようです。


どうしても販売したいのなら、立体系のイベントで
正式に許諾を得ての販売を考えてみてもいいと思いますが、
その壁は想像より遥かに高いものです。

例えばワンフェスなら、参加費は1卓凡そコミケの4倍。
許諾申請はイベントの約半年前になり、その時点で
ほぼ販売する状態に近い写真の提出が必要です。

第847話「同人グッズの版権問題」の巻

これは自分の場合ですが、
上の写真で許諾はいただけませんでした。

第847話「同人グッズの版権問題」の巻

その次のイベントで再申請して
上の写真で販売許可をいただけました。

更に本申請で許諾を得た後は、仕様・価格・個数の変更は
もちろん厳禁で、何らかの事情で当日準備ができなかった
場合もペナルティが課せられます。非常に厳しいです。
WFで商品を並べてるディーラーたちは、その全てを
クリアしているわけです。

付け加えると、メーカー品に酷似した仕様の商品は、
企業の意向もあって版元の許諾が下りない可能性が
非常に高いと思われます。

因みに自分は参加費と版権料で10万円近く掛かってます。
商品の制作、量産代(本で言う製本代)は別です。
前回は大雪の影響で会場に辿り着けず、その投資は
無残に消え去りました。立体系はリスクが大きいです。


結局のところ2次創作は原作があって成り立つものです。
原作側のお目溢しをいただいて、謙虚に楽しむのが
暗黙のルールです。硬い事言うな~では済まないのです。

個人的な印象ですが、版権問題を「ちゃんと」したWFは、
全体のクオリティはそれ以前よりも驚くほど上がりましたが、
正直無難でつまらなくなってしまいました。
誰もやらないバカなこと…がとてもやり難いのです。

同人系にはまだまだ面白いものが山ほどあります。
グッズ系が羽目を外し過ぎて原作側が本格的に動き出すと、
同人も「ちゃんと」することにならざるを得ないどころか
業界の崩壊にも繋がり兼ねないのです。

グッズを作ることが悪いわけではなく、同人系、立体系含め
版元に迷惑をかけずに活動していくことが最低限のルール、
マナーなのです。いい子にしようねってことですね。



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Posted by うらまっく at 03:26│Comments(0)フィギュア
 
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