第1025話「『夜は短し歩けよ乙女』観ました」の巻

うらまっく

2017年04月21日 07:08

湯浅政明監督の「夜は短し歩けよ乙女」を観ました。

ファンの一人として長年追い掛けてる身としては
実に13年ぶりの長編劇場用監督作品。しかも傑作テレビ
シリーズアニメ「四畳半神話大系」の布陣再び…です。

支離滅裂な展開と畳み掛けるようなトリップ映像演出、
明確な意味を与えてくれないまま自由に駆け抜けていく
登場人物たち…圧倒的な湯浅パワーは健在でありました。
 


一体自分は何を観ているんだろう…と呆然としながらも、
気付くとラストに向ってテンションは更に高まり、全ての
開放へ繋がる展開は「マインド・ゲーム」や「ケモノヅメ」、
「四畳半~」にも通ずる湯浅演出の真骨頂。 
 
特に先輩の中の純粋な恋心とジョニー(性欲)が渾沌と
争いあう内面葛藤のイマジネーションが本当にスゴイ。

個人的に昨年「四畳半~」聖地巡礼で訪れた京都の
出町柳が先輩の住む町だったことがなんかもう嬉しくて。
あー!ここ知ってる!行った行った!みたいな。
 
 

これまで監督があまり使わなかった小ネタやカメオ出演が
随所に見られたりしたファンサービスも新鮮でした。
ご都合主義全肯定にも声を出して笑ってしまいました。
 
ただこの作品、一般には非常に勧め辛いです。
ざっくりと「人の輪と恋心のメカニズムの物語」と書くと
簡単ですが、理屈も含めたぼんやりとした心の機敏や感情の
うねりなどを動く画でぶつけてくる表現の連続に傍観してしまう。
 

  
湯浅政明監督は類稀なる天才作家です。
故に、湯浅純度が高まるほどに一般客層を置行堀にしてしまう。
それでも今作はかなり一般寄りに整えてるとは感じました。

好き嫌いが割りと明確に分かれてしまう湯浅監督、
来月には完全オリジナル作品「夜明け告げるルーのうた」の
公開が控え、現在はNetflixでの「デビルマン」を制作中です。

「ケモノヅメ」に見られた、あの画だからこそ伝わる
「今すごく嫌なものを観た」という残酷な感覚は
「デビルマン」の物語世界に合ってると思ってます。
原作が巨大なだけに、拒否反応もすごいと思いますが。
 
 
形容しがたいがとても可愛らしい「夜は短し歩けよ乙女」。
まずは「四畳半神話大系」を観てからだと尚良しです。是非。
 

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