第697話「タンポポ」の巻
久しぶりに映画「タンポポ」を観た。
伊丹十三脚本・監督
1985年 日本映画
タンポポ(宮元信子)が女手一つで経営する売れないラーメン屋。
ふらりと立ち寄った長距離トラック運転手のゴロー(山崎努)と
ガン(渡辺謙 )は、この店を「行列のできるラーメン屋」にするために
尽力することとなり、厳しいラーメン修行が始まる。
国内での興行は振るわなかったものの、
アメリカでの興行成績は邦画歴代2位。
本編と全く無関係の
食に纏わるエピソードが随所に挟まれる構成で、
その一本一本の発想がユニークでブラックで面白い。
若き日の役所広司演じる白服のヤクザがまたエロくて。
女の乳房に塩を振りレモンを絞ってむしゃぶりつく。
卵の黄身を延々と口移しする。
若い海女の手から牡蠣を食べるシーンなどは
自分が中学生だった当時、官能的過ぎて電気が走ったもんなあ。
原泉演じる老婆が指で潰した
桃の表面を果汁が走るカットもドキッとする。
ホームレスがタンポポの息子に作ってあげる
オムライスがまた旨そうで。
(演じるは「できるかな?」のノッポさんこと高見映)
日本橋の洋食屋「たいめいけん」で
「たんぽぽオムライス」として実際に食べることができます。
http://www.taimeiken.co.jp/
食に関するエッセイ本を書いていた監督の嗜好が見えてくるような作品です。
ポスターのイラストを描かれたのも監督ご本人。
世に残した10作品のうち、最も人間性が透ける内容ですね。
子供と一緒に観るのはなかなか厳しいですが、
食べることの喜びを再確認できる映画です。
観た後にラーメン食べたくなるよ。
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