池袋の新文芸座にて開催された、
アニメ映画監督の湯浅政明さんのトークショー&
オールナイト上映会に行ってきました。
アニメオールナイトに挑戦するのは高校の時以来。
宮崎駿ナイト(カリ城~魔女宅)だったんだけど、
トトロで爆睡したんだよなあ…。
湯浅監督の作品が大好きで、新作が出るたびに騒ぐのですが、
周りの人たちがいまいちピンと来てないのがとても不思議です。
早速始まったトークショーでは、監督のキャリアや
制作スタイル、作品ごとの裏話などがたっぷり聴けました。
あんなに温厚そうな人柄の内側に、クレイジーで爆発的な
イマジネーションが詰まってるか思うとちょっと怖いです。
上映1本目は「ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌」。
1992年の劇場用作品で、まる子と絵描きのお姉さんの物語の中で
様々な楽曲がPV的に挟まれる特殊な内容です。
楽曲の権利関係からDVD化されておらず、視聴が難しい現状。
通常は平均3万枚のセル画で作られるところが、約6万枚にも
及んだという見応えのある作品です。
湯浅監督は大瀧詠一の「1969年のドラッグ・レース」と
笠置シヅ子の「買い物ブギ」のアニメーション演出と作画を担当。
特に「買い物ブギ」最高です。大好きです。(←ようつべで観れます)
挑戦的な楽しい楽曲アニメーションという括りで、南家こうじさん
(「うる星やつら」「めぞん一刻」OPEDや「みんなのうた」など
数多く手掛けてます。超好きです)の作品を連想したなあ。
2本目は「キックハート」。
クラウドファンディングサイトKickStarterで作られた作品。
簡単に言うと…企画の立ち上げに対し出資を募り、集めた資金で
作品を制作して提供するというアメリカで行われているシステムです。
物語は、ドMの覆面レスラー(♂)とドSの覆面レスラー(♀)が
繰り広げる究極の愛のアクションコメディ。
12分という短編ですが、異様にテンションが高くて面白いです。
BD&DVDセットで1500円(税抜き)ですよ~。
休憩なしで続けて上映されたのは「ねこぢる草」。
自ら命を絶ってしまった漫画家ねこぢるさんの漫画を元にした
オリジナル作品です。2001年OVA発売。
湯浅さんは脚本、演出、 絵コンテ、作画監督を担当。
説明不可能なトラウマ級の狂気の世界です。
OVAが発売された当時、一度挑戦して途中脱落した記憶があります。
魅入られたら帰って来れないようなドラッグ映像みたいです。
休憩を挟んで「マインド・ゲーム」。
2004年公開。数々のアニメーション賞を総なめにし、
湯浅政明の名と実力を世に知らしめた大傑作です。
全編通してとんでもない作品ですが、ラストの生への執着と
清清しい開放感は、後の「ケモノヅメ」や「四畳半神話大系」
にも共通する、監督独自の強烈なカタルシスを与えてくれます。
個人的に気落ちしている時に観たくなる映画です。
ラストは「クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険」。
クレしん映画4作目、1996年公開。本郷みつる監督作、
脚本は原恵一。湯浅監督は絵コンテ・設定デザイン・原画を担当。
この作品、今のクレしん映画のように「野原一家ファイアー!」や
「かすかべ防衛隊、ファイヤー!」と叫ぶようになる以前の作品。
当時観た時はどうもテンポも悪く、途中で飽きちゃって。
ところがクライマックスのラスボスとの追いかけっこの
シーンが矢鱈と滑らかで超面白くて印象に残ってました。
このパートを湯浅監督が担当していたと後で知り、納得。
お尻は痛くなりましたが、気が付けば8時間があっという間でした。
湯浅さんのアニメーションは絵のテンションがずっと高いので、
まったく寝るどころじゃなかったなあ。
会場で売られていた湯浅政明の厚い本(湯浅政明大全)と
薄い本を購入。大満足で朝の池袋をあとにしました。
それにしても名画座って全然なくなっちゃいましたね。
若い頃によく3本立てとか観に行ったものでしたが。
新文芸座では今週末に「獣人雪男」「フランケンシュタイン対地底怪獣」
「フランケンシュタインの怪獣サンダ対ガイラ」などの上映、
来月には「ガリバーの宇宙旅行」「太陽の王子 ホルスの大冒険」
「長靴をはいた猫」「どうぶつ宝島」が特集上映されるそうです。
また行きたくなっちゃうなあ。